日本のアミューズメントポーカー業界に新たな風を吹き込もうとしているのが、DMMグループの株式会社Waitinglist(ウェイティングリスト)です。アプリ開発やコンテンツ制作、ポーカーのDX化、リーグの創設など、これまでにない総合的なアプローチで新たなポーカー体験の実現を目指しています。新事業と今後の展望について、同社代表のKim Hongsung(キム ホンソン)に話を聞きました。

ポーカーを軸とした4つの事業を展開
-株式会社Waitinglistは現在4つの事業部体制を取っているそうですね。それぞれ簡単に教えてもらえますか?
1つ目がユーザー・店舗向けアプリを開発する「Waitinglist事業部」。2つ目がポーカーコンテンツを制作する「コンテンツ事業部」です。
そして、これから本格始動するのが、3つ目の「DX事業部」と4つ目の「トーナメント・リーグ事業部」です。前者ではハンド履歴データとライブポーカーを掛け合わせた勝ち体験の向上を目指していて、後者ではアミューズメントポーカー業界をさらに盛り上げる大会・リーグ運営に今後取り組んでいきます。
-ユーザー・店舗向けのアプリとはどういったものなんでしょうか?
簡単に説明すると、僕たちが提供しているのは店舗体験を最大化するアプリです。アプリをダウンロードしたユーザーは、住所やトーナメント情報に基づいてポーカースポットを検索できたり、店舗内でフードやドリンクの注文ができたり、個人戦績の結果を管理できたりします。他社サービスにない大きな強みは、位置情報の共有機能です。友人やインフルエンサーがどの店舗で遊んでいるのかが一目で分かるようになっています。

一方で店舗側は、ユーザー向けアプリに店舗情報を掲載したり、ユーザーのチェックインやテーブル・シート情報の管理、フード・ドリンク情報の管理など、集客や運営をサポートするさまざまな機能を使用することができます。無料プランに加入いただいている店舗は、現時点で約210店舗(2025年3月時点)とかなり好調です。新機能の追加など順次アップデートの計画が進んでいて、これからさらに導入店舗数は増えていくと考えています。
デジタルとリアルの両輪でポーカー体験を一新
-新設したDX事業部は、具体的にはどのようなことに取り組んでいるんですか?
DX事業部が取り組んでいるのは、Watinglistアプリ上で拡張機能として体験できるデジタル機能です。現在はさらに高度な機能が使えるWaitinglistのアプリインアプリの開発に注力しています。リリース予定の大きな機能として、プレーヤーのハンド(手札)を表示、記録できる機能があります。

RFIDタグ搭載のカードを読み込む専用のテーブルを使えば、いまでもハンドの表示自体は可能です。ただ、技術的な理由から、読み込んだカード情報を人間が一度入力しなければならないという手間が発生します。僕たちが開発している新システムであれば、こうした情報をスムーズにアプリなどに共有できるようになります。
こうしたデジタル化でポーカーのプレイが数値化されると、自分や他のプレーヤーのスタッツ(プレイの成績)が明確になり、より深く簡単に分析ができるようになる。つまりポーカーの楽しみ方がさらに広がるんです。
-リーグ・トーナメント事業も興味深いですが、こちらはリアルを中心に据えた取り組みでしょうか。
リーグは、サッカーのJリーグや麻雀のMリーグをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。リーグ設計は今後変更になる可能性もありますが、メインリーグでは企業スポンサーがついた6チームが5ヶ月のシーズンを戦う予定です。ほかにも学生リーグやレディースリーグといったサブリーグの開催も検討しています。
もうひとつのトーナメントは勝ち抜き制ですが、上位入賞者はスポンサー企業からの賞金を獲得できるだけではありません。大会成績に応じてポイントが付与され、そのポイントランキング上位者が今度はリーグに出場できるという仕組みも構想しています。

DMMとの大きなシナジー
-今後どういった点でDMMとのシナジーが期待できそうですか?
リーグ・トーナメント事業はまさにDMMとのシナジーの結果です。
リーグやトーナメントを盛り上げるためには、スポンサー企業からプレイヤーへの報酬提供が欠かせません。
しかし、アミューズメントポーカーが業界として盛り上がっているとはいえ、サッカーや野球レベルで世間に浸透しているわけではない。ポーカーの大会に協賛金を提供してくれるスポンサー企業は、まだまだ少ないのが現状です。
スポンサー企業の獲得においては、DMMのブランドパワーが活きると考えています。DMMはこれまでさまざまなアミューズメント系サービスをゼロから立ち上げ、成長させてきた実績があります。さらに60以上の事業を展開しているのでネットワークも幅広い。「アミューズメント業界を熟知するDMMグループなら安心できる」と、DMMの取引先の方々が大きな興味を示してくれているとも聞いていて、今後はスポンサー企業の増加も期待できそうです。
アミューズメントポーカー業界をさらに発展させたい
-今後の展望を教えてください。
僕たちWaitinglistは圧倒的なスピードと勢いでポーカーを日本に浸透させたいという想いから、「今日、ポーカーしたい」を加速するというミッションを掲げています。現在ポーカー人口は日本で約200万人とされています。特にここ2〜3年で急激な伸びを見せていて、今後ポーカー人口が増えるのは間違いありません。そして僕たちはこうしたムーブメントをさらに加速させたい。
そのなかで大きな目標として掲げているのが、スタープレーヤーの輩出です。スターという言葉には実力と影響力という2つの意味を込めています。
実力という面では海外で活躍する選手をもっと増やし、最終的にはアメリカの世界最大級の大会「WSOP」で優勝するような選手を送り出したいです。僕たちが運営するリーグやトーナメントはこうした強い選手の育成にもつながっていきます。
もうひとつの影響力という面では、世間に応援される人気プレーヤーを育てたい。リーグやトーナメントの試合の様子はDMM TVで配信する予定です。そうしたなかで光る原石の成長過程を見守るようなコンテンツ制作にも取り組み、プレーヤーのファンを増やしていく。いずれは大手企業からもCMオファーが舞い込むようなタレント性の高い存在を世に送り出せたらいいですね。

-野望もあると聞いたのですが……。
ハードウェア開発のことですね。カードのRFIDを読み込む専用テーブルは150万円ほどと高価ですが、僕たちはより安価なハードウェアの開発を構想しています。
具体的には、テーブル下部にRFIDセンサーを埋め込む従来方式ではなく、ディーラーがシャッフルしたカードを上からスキャンする方式を検討しています。カードが山になった状態で順番を読み取れれば、あとはそれを同じ順番でプレーヤーに配るだけなので、各プレーヤーのハンドはすぐに分かります。
これに加えてチップの情報を自動で収集できる技術も組み合わせれば、高価な設備がなくてもデジタル化されたポーカー体験を提供できるようになります。もしこれが実現すれば、アミューズメントポーカー業界にとって大きなインパクトになるはずです。
ポーカーの本質的な面白さはそのままに、テクノロジーで体験価値を高め、エンタメ性の強化でプレーヤーやファンを増やしていく。この想いを胸に今後さらにアミューズメントポーカー事業を成長させていきたいです。